主専攻実験:
3DCGソフトウェアを用いたパラメトリック形状モデリング

担当教員

三谷 純 mitani@cs.tsukuba.ac.jp ( 内線2333, 総合B棟906 )

実施学期

春学期

連絡事項

令和5年度 第1回目(4月21日 4限)は 総合研究棟B棟911-1で行います。

実験の主旨

3DCGの技術はゲームや映画、コマーシャル映像の作成などに幅広く使われ、その発展は目覚ましいものがある。 主には写実的な映像制作が対象となり、如何に実世界を忠実に再現するかが3DCGの主要なテーマとして扱われてきた。

一方で、CG技術のもうひとつの大きな役割として、実際には目で見ることができない情報を可視化することが挙げられる。 たとえば、トーラスや放物面といった簡単な幾何学形状であっても、それらは数式によって定義されるものであり、実世界に存在するものではない。 しかしながら、私たちはものを見て理解する生き物である。「かたちを見る」ことは、その幾何学的な特徴や、数理的な性質を理解するうえで大きな助けとなる。 単純な幾何学図形にとどまらず、射影幾何、位相幾何、フラクタルなどは可視化によって理解を深めることができる例として挙げられる。

以下の動画は、その具体的な例として優れたものである(ひととおり視聴することを勧める)。

このような、実世界にはない「数理モデルを3DCGで可視化する」ことを本実験の目的とする。

実験の概要

実験では、建築やデザイン業界で広く使われている3DCGソフトウェアであるRhinocerosを使用する。 そのプラグインであるGrasshopperでは、PythonやC#といったプログラミング言語で、形状生成のためのスクリプトを書くことができる。 これを利用して、さまざまな幾何形状および、そのアニメーション映像を作成する。


本課題は以下の3つのサブ課題から構成される。

(1) Rhinocerous の標準的な機能を使用した立体形状モデリング
チュートリアルを行うなどして、Rhinocerous の基本的な操作方法を修得したのち、幾何学図形の形状モデリングを行う。この課題を通して、Rhinocerous を十分に使いこなせるようにすることを目指す。また、数学的に興味深い形を探し、その特徴の理解を促すための形状モデルを作成する。

例1

サッカーボール(切頂20面体)の構造。正六角形と正五角形の組合せで構成されていること、辺を3色で色分けできることを確認できる。


例2

変曲点を持つ空間曲線のフレネ機構(接線・法線・従法線ベクトル)の可視化。


(2) GrasshopperとScirptを用いた立体形状モデリングとアニメーションの作成
チュートリアルを行うなどして、Grasshopper の基本的な操作方法を修得したのち、Scriptを使った形状生成手法について学ぶ。スクリプトによって、より複雑な形状を生成できるようになることを目指す。また、パラメータ変更によって、対象形状が変形するアニメーションの生成を行う。



4つの折り目を持つ構造の折りたたみの様子(折り線の配置による動きの違いを確認できる)



折りたたみ構造への厚みの付与



(3) 最終課題
数学的に意味のある形状およびアニメーションの作成を行う(物理や化学分野における現象を説明するアニメーションでも構わない)。時間の許す範囲で、複数のテーマに取り組むこと。Kangarooを用いたシミュレーションなど、上記以外の機能をさまざまに利用して構わない。


資料

スケジュール

実験は全15週であり、以下のスケジュールで行う(2023年度)

補足情報

過去の主専攻実験「3次元形状測定と幾何形状処理」のページ