デジタル時代のペーパークラフト

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7. 展開できる曲面:可展面とは?

前回のコラムで、コンピューターでペーパークラフトを扱うには、平面または曲面の集合によって立体を表現する「サーフェスモデル」または「境界表現によるソリッドモデル」を用いると都合がよいことを記しました。

モデルを構成する各面を平面上に展開できれば、それを工作用紙に出力して切り抜き、対象形状のペーパークラフトを作成することができます。

しかし、一般的な曲面は平面に展開できないことが多く、展開できるものは「可展面」に限られます。ここでの「展開できる」とは、曲面の大きさを変えずに(面上の線の長さを変えずに)1平面上に移せることを言います。

曲面の分類

曲面はエレメントによって下図のように分類されます。直線エレメントをもつ曲面を線織面、もたない面を複曲面といいます。線織面はさらに、展開可能な可展面と展開不可能なねじれ面に分類されます*1


曲面の分類(「図学入門*1」より引用)

可展面

上図の曲面の分類より、各種ある曲面の中でも、展開可能な曲面は非常に限られていることがわかります。具体的には「柱面」「錐面」「接線曲面」の3つだけです。その他の曲面は展開不可能であるため、ペーパークラフトで厳密に表現することはできません。

ところで、曲面でなく平面多角形の集合で表現された立体「多面体」は、言うまでも無く展開可能です。従って、ペーパークラフトで作成する立体は、「柱面」「錐面」「接線曲面」および「平面多角形」の集合で表現されていなければならないと言えます。

一般的に、CGやCADで設計される立体には可展面以外の曲面が含まれることが多いため、これらをペーパークラフトで作成するには、ある程度の誤差を許容しながら、展開可能な曲面または平面多角形の集合に置き換える必要があります。この処理は決して容易なものではなく、コンピューターでペーパークラフトを扱う際の大きな課題となっています。次回のコラムでは、可展面でない曲面をどのようにして可展面の集合に置き換えるかを述べます。

参考文献・関連サイト

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